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龍谷大学牛尾塾来玉熱烈歓迎的まち徘徊
(2011年3月6日)


 龍谷大学の牛尾ゼミの方々が当地を訪れた時の様子を、○とさんがレポートしてくれました。

 当日は、夕方から日没過ぎまでの時間でしたが、下記のコースを歩きました。

 駅→北口駅前の大欅→玉川学園正門→セブンイレブン→2丁目の丘→文化センター横の階段→北口商店街→第2踏切→南口商店街→7丁目花壇道路→8丁目尾根道→尾根道→かしの木山自然公園→五叉路→テント跡地→8丁目クランク→無窮会坂道→北口商店街→駅

 その後、牛尾ゼミの方々が、丁寧なメッセージとともに、まち歩きのレポートを送ってくれました。

玉川学園へのご訪問を終えて
(牛尾ゼミの方々のメッセージとレポート)

(○とさんのレポート)
 3月6日(日曜日)午後4時半。玉川学園前駅改札に、約20分遅れて到着したのは、かの‘龍谷大学牛尾ゼミ’のみなさん。京都からはるばる…。ここに来る前に2班に分かれて景観問題で揺れている関東の2地域を取材されての‘ご来玉’。そうなのです、牛尾ゼミは法学部ですが里山だとか景観だとかをテーマにしているめずらしい若人の集団。生徒さんの名刺には「みらいの環境を支える龍谷プロジェクト」なんてある。「酒・マージャン・漫画・バンド・貧乏旅行」のことしか考えていなかったオラの貧しい学生時代が思い出され、ちとまぶしい面持ちでお迎えしたのは牛尾先生以下11名の学生さん。迎えるこちらは、まちづくりの会からお二人参加の9名でサポート。
 もうすでに夕暮れ、とにかく時間がない。改札広場からなだれを打つように階段を下って「名物・大欅」。みなさん「7年間の闘い」の資料は読み込んだ上でのご来玉。今回は「そこまでして守りたかった景観」とは何ぞや?を肌で感じる為にまち歩きを希望されています、というような本日の主旨と熱烈歓迎表明と簡単な自己紹介を玉学正門へのアプローチ沿いの桜の老木の下で輪になってやらかしました。さて、まち歩き。ベサメムーチョの母子観音像の説明もしたいがコースは池を右手に2丁目のぶっとい桜が植わった住宅街へ。折れ枝の山桜の隙間から、かなり高度感のある、商店街を見下ろす地点も残念ながらコースアウト。みんななにをしゃべってるのだろうか?ワイワイいいながら文化センターの階段を下る。途中、当メンバーが線路向こうの大きな建物、玉川クリニックさんの開発の背景を説明してました。
 北口商店街を「電柱がないでしょ、」なんて説明をしつつブラブラ。第2踏切を渡って、南口商店街へ。オダキューOXには高価だがおいしい惣菜がそろってる。しかし、ホッピーは置いていなくてソレならそれそこの三和にある。山・尾根・坂・谷の独特な風景と同じように、高等遊民もワタクシのような一介の庶民も暮らしやすい重層的なマーッケットを形成しているこの町…という説明をしたかったが、カメラで飛び回っているのでダメ。さて、南口商店街にある精肉店の角から一年中実をつけている不思議オレンジと竹林の坂を登って7丁目の花壇道路へ。あいにくこの季節には色とりどりの花はない。仲間の一人が人と車と平等なセンターラインの説明を。かつては裁判官ご一行を案内したことを思い出しました。ここで大ダヌキのお迎えと、上空にはオオタカが乱舞!してくれたら学生さんたち喜んだでしょう!坂の途中で両手を広げて出迎えてくれたのはタヌキが化けた仲間なので、大ダヌキの方は実現したようで。学生さんたちはまさか‘タヌキ’とは知らないから、熱心に話に耳を傾けていましたが…さて?
 南台を通ってかしの木山へ。もうすでに閉門6時の直前、あわや、と思ったら一行の先頭にいた仲間が閉まる直前の門のところで、ご相談とお願い。お願いかなって、ちょこっとの部分に全員どどっと入り込んじゃった。仲間の一人は‘森の家’の脇道を指して「さっき歩いて来た尾根道とここはつながっていて、新田義貞が‘いざ鎌倉’の時に通った鎌倉古道なのです」。学生さんばかりでなく、みんなうなづく。ハクビシンとは知らずに別の仲間になにやら教わる学生さんも。長居は迷惑。そこそこに三菱化学生命研前の坂を下ります。途中、7年間の闘いの記録を収めた青大将の記念館ガレージを指差し説明。五叉路へ直進は危険なので南大谷小側に迂回するとサシバの化けたカメラマンのあいかわらずのするどいコーナリングでのご帰宅と遭遇。もう夜がとっぷりと覆いつくしユニヴェルの異様な夜景がのしかかって来ています。早く切り上げないとみんな‘本性’を現しかねません。テント跡地でしばし休憩。8丁目のクランクを経て無窮會図書館から第3踏切を渡って駅へ。
 ちょっと駆け足でのまち歩き。駅の北口階段下でお別れです。ここで「京都発・景観まちづくり学生宣言」なんて勇ましいタイトルの冊子を今回の接触ダンドリ幹事の学生さんからいただきました。牛尾先生はじめ、学生のみなさん、ありがとう。今度会うまでに、このまちに住む喜びを的確に伝えられるよう精進しときます。

 さようなら。

 まずハクビシンが「早く買い物して帰んなきゃ大変!」と。アナ熊さんはすでに尻尾が出ています。青大将、紅こうもりに笑いカワセミ、オオアリ喰いの面々もお尻がソワソワ。

 龍谷大学のみなさん、実は私たちはみんな非常識な開発で追われた稀少生物だったのです。

 ナンテ。

ぺンネーム:○と
(写真はT氏提供)




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(牛尾ゼミの方々のメッセージとレポート)
玉川学園へのご訪問を終えて

2011年3月29日(火)
牛尾洋也ゼミ2回生ゼミ
拝啓
 この度は、ご多忙の中、私たち牛尾洋也ゼミ2回生のご訪問をご快諾して下さり、誠に有難うございました。当日は、様々なことを肌で感じることができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。私たちはこれからも様々な視点を持ちながら、日々、勉学へ勤しんでいきたいと思います。その中で現場を訪れることの大切さを常に意識しながら、これからも調査をしていきたいと思います。
 私たちのゼミ合宿を終えて、玉川学園へのご訪問のレポートを添えさせていただきます。主観的な観点もあり、まだまだ未熟な点もありますが、宜しくお願いいたします。
 今後とも、お伺いする機会がございましたら、宜しくお願いいたします。
敬具
牛尾洋也ゼミ2回生ゼミ一同



文責 S・S
 この度は、お忙しい中、貴重なお時間をありがとうございました。予定よりも訪問する時間が短くなってしまい、誠に申し訳ありませんでした。
 私が、玉川学園へ訪問をして、駅を降り、今回のまち歩きをアレンジしてくれた住民の方を始め多くの方々とお会いした時に始めに感じたことは、玉川学園に住む方々の自分たちのまちをこよなく愛する気持ち、思いでした。それは、まち歩きをしながらお話をしている中で、物凄く伝わってきました。
 景観まちづくりにしろ、何かを成し遂げるためには1人では決してできません。全国には、特に訴訟後のまちづくり活動をどのようにしていけば良いのか、悩んでいるところも数多くあります。その悩みの1つが住民同士の繋がりです。玉川学園の皆さま方は、お互いのことを尊重し合い、自分は何ができるのか、1人1人考え、実際に行動に移していると思いました。そのような「人」の営みができているところは全国を探しても本の一握りしかありません。そのような日々の姿も、1つの「景観」ではないかと思います。
 ある視点からの眺め(視点場)、花や草木の香り、そこに住む人々の営みや雰囲気など、「景観」とは、決してものだけではないと思います。
 しかしながらこのような「景観」を破壊し、住む人々の話や意見を完全に無視し、一方的に開発をすることは決して許されることではありません。
 開発の時代は終わりを迎えるべきです。不必要な乱開発によって、多くの生態系が崩れ、また人と人との繋がりを希薄化させ、1つの大きな建物がまるで1つの小国のような、そんな開発はもう辞めるべきです。不動産は既に需要が供給を下回っています。そのような中で、企業は、そこに住む多くの方々との、新しい共存の道を探るべきだと思います。闇雲に、大きな建物を建てるのではなく、その地域の歴史を作ったのは、その地域に住む昔からの人々であるので、その地域に溶け込むような努力をすべきです。一方的に法律を機械的に解釈して、好き勝手にすることは決して許されることではありません。私たちも学生として、今後の自分たちのまちのより良い姿とは何か、考え続けなければならないと思います。
 この度は、本当にありがとうございました。地域の多くの皆さま方とお会いすることができ、本当に嬉しく思います。今後とも、お会いできる機会がございましたら、宜しくお願いいたします。


文責 F・T
 先日は、訪問させていただき本当にありがとうございました。まちあるきでは、みなさんのお話を聞きながら、玉川学園のまちを歩くことができ、本当に有意義な時間となりました。訪問させていただく前に事前勉強として、資料等を読んでいましたが、実際に現場を見ると、感じることは多くありました。玉川学園の高台から眺めることのできる素晴らしい眺めが、マンションによって壊された現実をみて、とても悲しくなりました。
 また、みなさんにお話をお伺いし、みなさんが玉川学園のまちをとても愛しておられるのだと感じました。私も、玉川学園のまちから見た夕日はとてもきれいだと感じました。また機会があればお伺いしたいと思います。本当にありがとうございました。


文責 K・S
 閑静な住宅街に大きなビル、このコントラストだけでもとても印象的でした。住民の方々の玉川学園地域に関する思い入れに関しても、里山学に通じる考えを私は感じました。単純な町の感想としましては、起伏のある地形というのが建物の高さ制限によって見事に表現されているようでした。加えて考えの至らない表現でまことに恐縮ですが以前の聖蹟桜ヶ丘の風景と同じ、それ以上の美しさでした。私達がお待たせしたにもかかわらず、暗くなっても真摯に対応いただきありがとうございました。


文責 Y・T
 この度は、玉川学園の美しい学園地域をご案内して下さってありがとうございました。玉川学園は、山の上にあることから坂が多く、綺麗な建物が多く並ぶ街並みをいろいろな場所から見渡すことができて、とてもすばらしい学園地域であると感じました。その美しい街並みも、そこに住んでおられる方々の団結し、良い街をつくり上げていこうという不断の努力の成果であると思っております。しかしながら、あのような巨大なマンションが建ってしまい、その一部において綺麗な景観が崩れてしまったことは大変残念なことです。これまで学園地域は一体としてその価値がありましたが、その中にまるで要塞のような巨大なマンションを建設し、さらには住民の方々がつくり上げてこられた美しい街を利用するような宣伝をしたことは、大変恥ずべきことだと思っております。法律にさえ書かれていなければ何をしてもいいという機械的な考え方ではなく、人として、その街の価値とそこに住んでおられる方々の意志を尊重した行動をとらなければならないと思いました。当然法律には何でも載っているわけではありません。しかし、裁判所が認めた景観利益というものは、その街を良いものにしようという努力なくしては決して得られるものではありません。景観利益は最初からあったものではなく、そこに住んできた人々によってつくられたものであることをもっと重く見るべきでしょう。玉川学園地域では、多くの人の話を聞かせて頂き、街歩きでは様々なことを学ばせて頂いて本当にありがとうございました。


文責 Y・S
 この度は、玉川の町を案内していただき、また、私たちとの対話の場を設けていただき真にありがとうございました。正直、資料等を読む限りでは、ものすごく怖い方々なのかと思っておりました。しかし、実際はとても丁寧に説明していただき、現場を丁寧に案内していただいたおかげで忌憚なく質問をぶつけさせて頂くことができたことを深く感謝致します。玉川のマンションの訴訟は決着がついてしまいましたが、他の建物の訴訟や、新田義貞が通った道など、まだまだ残すべきものや景観が玉川にはあるように思いました。その保全ができるようこれからもよろしくお願いします。


文責 W・T
 この度は大変多くの方々にご案内いただきましてありがとうございました。
 玉川学園を中心として、坂道を壊すことなくそれを生かした街並みを作ってこられたというのは、今後日本の街造りを考えていく上でモデルにすべき街だと思いました。その中であのような巨大マンションが建設され、本当に壁がそびえ立っているかのような感覚を覚えました。一方では居住環境の保全を考えた建設を行っている企業がある中で、企業利益のみを考えた独善的な経営活動というものは、私達市民がそれをよしとしない意識をもって過ごしていかなければならないと思いました。特に私達のような学生が、今後社会に出ていくにあたって今回感じたものを忘れず、どのような道に進んでいくにせよ、よりよい街づくりとは何なのか考え続けなければならないと思います。



 牛尾ゼミの皆さまにおかれましては、遠路訪れてくださいまして、ありがとうございました。重ねまして、レポートを送ってくださったことに感謝いたします。


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