前国立市長を迎えての講演会
8月17日(日)

 8月17日(日)午後5時から、さくらんぼホールで、前国立市長の上原公子さんを迎えて、講演会が開催されました。会場確保の点から、さくらんぼホールの一番小さい部屋での開催となり、ひろく参加を呼びかけるかたちにはなりませんでしたが、ながらく国立の景観問題に取り組み市長を経験した当事者ならではの厚みのある話を聞かせていただきました。当日参加していた「玉川学園の長谷工巨大マンション建設に反対する原告団」団長の衛藤まりさんがメッセージを寄せてくれました。
上原公子さん

 この度、前国立市長の上原公子さんが玉川学園を訪れるという話を聞き、当対策協議会のためにも是非お話を伺いたいというお願いを申し出てたところ、上原さんには快くご承諾いただき、17日の講演会が実現しました。 お顔は新聞などでたびたび拝見していましたが、実際にお目にかかっても気さくな雰囲気はそのままで、深く親しみを感じました。それは話し方が堅苦しくないということにも一因がありますが、なによりも地域に根ざした生活そのもの、そしてその主役である地域の人々の気持ちを当事者として理解し、それを代弁してくれているからでしょう。国立では景観を守るためにどのように闘ってきたか、現在もそのためにいかに苦心しているかを熱く語って頂きました。
 戦後の焼け野原から劇的な成長を遂げた日本各地で育まれてきた日本の景観が、経済にかげりが出たとたん、背に腹は代えられぬとばかりに、目先の利益のために売り飛ばされるという悲劇が起こり始めました。これは汗水流して働いてきた先人達に申し訳ないばかりでなく、その中で育った子供たちや将来その恩恵に預かることのできない子供たちにとっては大きな不幸です。しかし企業の利益のおこぼれをあてにする癖の抜けない行政は、口を開けてみているばかりです。
 地域は地域の住民が自分で守り育てていかなければならず、地方自治体はそのためにあるものです。議員や土建国家のために用意されているものではありません。また私たちも先人の用意してくれたものに便乗するだけでは、巨大マンションを売り逃げする業者と大差ありません。まちの景観を享受し、守りたいと思うならば、それなりの我慢や苦労も引き受けなければならないでしょう。それを避けてばかりいればまちの景観は守れません。国立の人たちは、一歩先にその事実に気づき、まちを壊す人々と闘い、自治を人任せにせず、現在も市民が一丸となってまちづくりに取り組んでいるのです。
 それにしても上原さんの強さと情熱には脱帽しました。同時に、このような市長が現れなければ改善していかないほどに、社会は、見えない大きな力によって、誤ったレールの上を走らされているのだと感じました。6年目に入った反対運動の中で、私が何に一番驚いたかと言えば、企業の事業計画に都合のいいように法律を解釈して手続きを進めることに、良心の呵責を感じないどころか、そのために魂も売り払ってしまったような、企業家、弁護士、行政マンに、私たちのまちは取り囲まれているという恐ろしい事実、そして裁判所は長年彼らにだまされ続けているという現実です。
 退任後も諦めることなく、これらと闘い続けている上原さんや国立の皆さんには、一地域住民として本当に敬服するばかりです。私たちも「裁判はまちづくりの一環であるということを肝に銘じてがんばってください」という上原さんからのメッセージを忘れずに、裁判運動のラストスパートにつなげたいと思いました。

衛藤まり
(写真はT氏提供)






オンラインニュースに戻る
トップに戻る