第1回建築禁止民事裁判
(6月28日)



(nonnoさん提供)

 6月28日(火)、東京地裁709号法廷で、建築禁止民事裁判の第1回が開かれました。当日は、傍聴席がほぼ満席となるなかで、原告側意見陳述がおこなわれました。次回は、8月30日(火)午前10時からとなります。


当日は、3名の陳述がおこなわれましたが、そのうちの1名の方の陳述原稿です。
(プライバシー保護のため一部修正してあります。)
 2002年の暮れ、グランド跡地に大きなマンションが建つという噂を耳にしました。2003年に入りそのマンションが異常に大きな物であることを知りました。当時の計画で高さ42m、ほぼ東西に幅320m、610戸もの世帯が押し込まれているというのです。2004年6月に市の条例により高さが31mに制限されてからは、31mの高さに無理矢理588世帯を押し込んだ形となり、幅は東西にうねらせながら延べ400m以上と更に長くしてありました。
 業者に見せられた風害シミュレーションによれば、永いこと親しんだ尾根道、それに続く南台住宅への入り口付近は強風の通り道となり、湾曲した巨大なコンクリートの屏風に取り囲まれた南台住宅の大部分は、ほとんど無風状態となっています。これでは、強風で尾根道の大切な樹木は倒され、付近住宅は屋根がとばされる所もあれば一方、そよ風を失うのに加え多数のエアコンや窓ガラスからの放射熱・反射熱で灼熱の夏を堪え忍ばなければならい所が出てきます。その上、これでは尾根道へ出ても美しい丹沢は見えず、広々とした空を失い、家から一歩外へ出れば巨大な壁に見下ろされ、息もつまる圧迫感に神経衰弱になりそうなのは私だけではないはずです。何故このような異常な建物を建てなければならないのでしょうか。
 計画地は「町田市緑の基本計画」では「緑の回廊」と指定されている場所です。その上3トン規制のかけられている狭い取り付け道路の奥にあり、入り口はたった一つ。計画通りの工事など出来るはずはなく、今でも家族を駅まで送るのに苦労している周辺道路に、588世帯もの生活車両を受け入れる能力も無いはずです。事業主たちにはこの地域の事情が全く分かっていません。話し合えばきっと計画を改善してくれるに違いない、と当初は考えていました。
 ところが長谷工コーポレーション及び東武鉄道を初めとする建築主5社の実態は全くひどいものでした。何度説明会を開いても都合の悪いことには一切答えず、いつも戸数588戸は絶対に変えないと言うのが大前提でした。本当に話し合いたかった建築主5社はいくら頼んでも一度も顔を出してくれませんでした。私も一度個人的に東武鉄道の社長に書留で手紙をだしましたが、驚いたことに受け取り拒否で返送されてきました。そして話しは何も進まないまま、工事は強行されてしまいました。
 建築主たちと対等な話し合いをするために残された手段は裁判でした。昨年6月、長谷工コーポレーションは抗議する住民を損害賠償で訴え、その後もことある毎に抗議する住民に対し「あなたがたが訴えても負けたら何千万円も払わなければならないんですよ。」と脅し、「裁判中に建物は完成してしまうのだから訴えても無駄ですよ。」と言い張りましたが、私たちは脅されても諦めませんでした。
 これらの脅しに負けて私たちが黙ってしまったら、住民無視の巨大マンション計画がどんどん進められてしまいます。3トン規制のかけられた貧弱な道路、しかも通学路でもある道路にはいまや早朝から大型トラックが頻繁に出入りし、私たちは10トンダンプの排気ガスを吸わされ、びくびくしながら通行しています。家族の送迎にも日一日と時間がかかるようになり、遅刻しないために早めに家を出るようになってきました。また永いこと親しんできた風景や空は刻々と失われ、心癒してくれる、たぬきや鳥、蝶など自然の来訪者の様子も変化を見せはじめました。「今年はウグイスが鳴かない」、と周辺住民が一様に云いました。計画地が高台である為に着工当初から貴重な緑の回廊に異様な怪物のような姿を現してきた巨大マンションが、今では遠くからでも目に入り、本当に心が痛みます。裁判官の方々には是非この悲惨な状況を視察していただけたらと思います。私たちが育て守ってきたこの町が壊される前に、長谷工コーポレーション、及び東武鉄道を初めとする建築主五社が、強引で無謀な工事を続けるのをとめて下さい。心から御願い致します。




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