'経済羅針盤'NHK報道局から回答
 「国土交通省が問題ない企業と言った」

(5月15日)


 NHKが4月29日の生放送番組「経済羅針盤」の中で長谷工コーポレーションの岩尾崇社長を出演させた件で、協議会が「NHKは、長谷工が地域紛争を多数抱える企業体であることを認識した上で企画をすすめたのか」「事前に伝えていたにもかかわらず、公正な内容にならなかったのはなぜか」などについて質問したことへの回答が15日、NHK報道局経済部長と同政経国際番組部長名で届きました。
 回答では、「バブル崩壊後、経営危機にあった会社の経営者がどのように難局を乗り越えたかを伝えるために岩尾社長に出演を依頼した」とこれまでの主張が繰り返されました。さらに、「長谷工が同業各社のなかでも市民との紛争案件を数多く抱える企業だということを企画決定段階から把握していたのですか?」の問いには、「承知していた。しかし、国土交通省などに聞いたところ、同業他社と比べて特に問題のある企業とは認識しておらず、建設業法に基づく処分が行われた事実もない、とのことだった」とありました。尚、質問状は視聴者総局長に宛てたものでしたが「同職の了解の下、代わって回答した」とありました。

 「放送したことに誤りはない」とするNHKのこれまでの主張が繰り返されている点、また、視聴者総局長ではなく、報道局内の同番組を管轄する部長名で返答していることから、放送の問題点に気がついた上で、組織を防衛するためか、あくまでも担当レベルで問題をせき止めたいとする意志が窺えます。一方で、長谷工の所業については「国土交通省からお墨付きをもらっていた」という理由で責任を回避。長谷工の会長が同省幹部の出身であるならば、国土交通省の取材では公正な「裏取り」になるはずのないことは自明であり、事前取材の浅薄さを自ら露呈する回答となっており、組織防衛どころか、かえって組織の脆弱さを示すものとなっています。「多くの市民からの抗議と公正な内容を求める要望が届いていたことを、事前にどう受け止めていたのですか?」については、明確に回答しませんでした。
 放送内容そのものに加え、放送に前後して寄せられていた様々な苦情や質問に対し、経済羅針盤の担当者が抗議の内容や質問にかかわらず一律同文の文書をそれぞれの人々に返すなどの、不誠実な対応が引金となった今回のNHK不信の声に対し、自らの事前取材の甘さや、苦情や意見への対応の問題点を検証しようという意志はどこにも表れていませんでした。
 これ以上、NHKに対し直接抗議をしても今後に向けた改善の余地もないと判断し、BPO(放送倫理・番組向上機構)への提訴も含め、検討していくことにします。






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