住民101人がマンション建築工事の差止めを求めて提訴
(4月25日)


 4月25日(月)午前11時、グランド跡地周辺の住民101人が原告となり、マンション建築工事差止めを求める裁判を東京都千代田区霞が関の東京地方裁判所に提訴しました。あわせて八王子弁護士会館と霞ヶ関司法記者会レクチャー室にて記者会見がなされました。当日夕方のNHKニュースでは横断幕を掲げて裁判所に向かう原告団の姿やノボリが林立するグランド跡地周辺の風景が映し出され、翌日各社朝刊でも報じられました。
 地裁には、石井恵子市議が応援にかけつけてくださいました。
 また、当日、地裁では、特殊車両通行認定処分取消請求事件の初公判と損害賠償請求事件の裁判がおこなわれるとともに、ハセコーとたたかう東芝府中の仲間たちの公判もおこなわれており、応援傍聴で連帯しました。

 当日の記者会見にあたって原告団代表が用意したプリ・レクチャー・スピーチを紹介します。
 本日はお集まり頂きまして有難うございます。今朝東京地裁に玉川学園の長谷工巨大マンションの建築差し止めを求める訴訟を提訴致しました。
 私たちの住む町田市玉川学園地域の環境は75年間の市民の努力によって築かれ、守られてきました。マンション建設予定地に隣接する尾根道からは、建設予定地越しに丹沢山塊の素晴らしい眺望が楽しめ、散歩コースとして多くの市民に親しまれています。一昨年にはこの地域に絶滅危惧種のオオタカが生息していることが証明されました。それは住民が守ってきた環境がいかに素晴らしいものであるかの証しであり、私たちの誇りでもあります。本件マンション建設予定地は玉川学園地域の中でも特に町田市の緑の基本計画において「水と緑の拠点」と名付けられた部分に存在しています。ここに戸数588戸、高さ約31m、幅約400mの巨大なコンクリートの壁のようなマンションが建とうとしています。このような巨大マンションは、自然生態系を破壊するのはもちろんのこと、美しい眺望をすっかり覆い隠してしまいます。東京都や町田市からもマンション建設の前にオオタカの調査をして、それを計画に反映するようにとの、行政指導がなされています。にもかかわらず、工事は強行されてしまいました。
 また建設予定地の周辺道路は狭隘で、とても588世帯の生活車両を受け入れられる状況になく、近隣学校にも学童の急激な増加に対応できる余裕がありません。先住の住民にだけでなく、新しく来る住民にとっても問題の多いこの計画を、行政も無謀と捉え、見直しを要望してきました。住民にとっては大変な重大事でありますので、東武鉄道を初めとする建築主5社には何回と無く、話し合いに出てきてくれるようにと要望してきましたが、残念なことに1社たりとも説明会に来てくれた地権者はいませんでした。
 従いまして私たち101名は、やむなくここに東武鉄道を初めとする建築主5社及び長谷工コーポレーションに対し、「建築差し止め」を求めて民事訴訟を起こしたしだいです。
 そもそもなぜこのような地域に巨大マンションが建とうとしているのでしょうか。一つの大きな理由は、「一つの敷地には一つの建物しか建てられない」という建築基準法の原則に反し、10棟もの建物を建てようとしているからです。この法令違反により、本件マンションの10棟の建築物は異常に接近し、お互いに日照を奪う等の理由から、将来、新住民の生活権をも侵害することになります。もう一つの大きな理由は、一般車どうしのすれ違いも苦労するような狭い道路に、道幅いっぱいの大型工事車両が通行できるよう、違法な行政処分により、通行認定が下ろされてしまっているからです。本件民事訴訟とは別に、建築基準法一敷地一建物違反に関しては、ただいま国土交通省に不服審査請求中です。また大型車の通行認定に関しては、本日午後2時より東京地裁にて、「通行認定処分の取り消し」を求める行政訴訟裁判の第一回目が開かれる予定です。(次回は6月14日の予定です。)
 なお本訴状は弁護士先生の助けを得て原告に限らず沢山の住民が係わって書き上げたものです。私たちのほとんどは今まで裁判や法律などとは無縁の暮らしをしてきた普通の市民です。提出に当たっては大変な覚悟と勇気が必要でしたが、同じ長谷工コーポレーションに苦しめられている、府中の東芝グランド跡地マンションや、世田谷、目黒の都立大跡地マンションと闘っている方々に励まされて、ようやく提訴の運びとなりました。さらに国立市の東京海上跡地マンションと闘う方々からも励ましの言葉を頂いています。これからもこのような仲間達と共に断固として徹底的に闘っていくつもりです。
(写真はA氏とY氏提供)





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