巨大マンション
ユニヴェルシオール
Q&A


◆ユニヴェルってどこにあるの?
地域の未来像を表す町田市都市計画マスタープランは、玉川学園、南大谷、東玉川学園と成瀬や本町田、金井の一部を指して、「玉川学園地域」と呼んでいますが、私たちが裁判で使っている地域名も、この呼び名です。旧日本IBMグランド跡地は都市計画マスタープラン定義の「玉川学園地域」に位置し、住所は南大谷です。

◆そもそも何が『違法』だと言って裁判をしているの?
都市計画法違反、建築基準法違反、東京都安全条例違反、ハートビル法違反、まちづくり条例違反など多岐に亘りますが、とりわけ問題なのが、開発許可を取らずに47000平方メートルもの敷地を開発したこと、そして10棟もの建物を1棟であると見せかけて申請し、建築確認を通したことです。またユニヴェルは行政指導を無視し、絶滅危惧種のオオタカ保護のためのガイドラインに従わずに強行され、町田市都市計画マスタープランとも全く相容れない建造物です。私たちは、その結果としてもたらされた街並み景観破壊などの深刻な被害からの救済を求めて裁判をしています。

◆裁判は勝ち目はあるの?
もちろん、「勝つために」行っている訴訟です。しかし、このような裁判は白黒で決着をつけるというだけのものではなく、事業主の傲慢な進め方が住民をいかに苦しめているか、地域に与える被害がいかに大きいかを広く世間に知らしめること、この様な声の輪が全国に沸き上がることに大きな意味があります。ただ諦めて黙ることなく地域住民の意向をはっきりと打ち出すことが地域の未来にとって重要です。日本の司法では個人の景観権がまだ確立せず、前例主義、経済効率および土地所有権最優先主義がはびこり、大変厳しい情況であることは確かです。しかし住民には司法の場で被っている害を主張する自由があります。
また、無謀な建築に対して「これはおかしい!」と声を挙げ、司法に判断を求める動きは全国で起こっています。司法判断は「棄却」や「却下」が目立つとはいえ、業者が建築計画を変更した例は実は沢山あるのです。このような動きの中で、国立市内の明和マンション問題では、最高裁判所は地域住民の景観利益を認めました。玉川学園地域の運動は4年以上にわたりますが、その間、街づくり条例や31mの高度規制および地下型マンションの規制を定めた条例が施行されたり、まちづくり憲章や地区計画への動きが盛んになりました。この10月1日には町田市でも開発許可の基準がより明確にされることになりました。この裁判はマンションの高層階撤去が認められることが目標なのは言うまでもありませんが、勝ち目がどうこういう以前に、長い目で見たまちづくりにとって無くてはならないものなのです。

◆一番悪いのは行政でしょ?
もちろん行政法違反の見逃しをした町田市の建築審査会も悪いですが、むしろ長谷工やナイス、東武などの事業主が都市計画法上の開発許可を得ずに行った開発行為、建築基準法施行令の一建築物一敷地原則の無視などの姿勢が被害を直接的に撒き散らすという意味で、より強く非難されるべきです。事業主達は、違反建築により周辺住民に被害をまき散らしている当事者として、司法による裁きを免れない立場にあるのです。土地を売却した日本IBMの社会的(無)責任も重大です。

◆反対している人は20人くらいじゃないの?
それは大きな間違いです。5年続けて、玉川学園町内会、南大谷町内会、玉川学園南台自治会の3町内会では総会で反対運動の継承が承認され、そのための予算が拠出され、会計報告もされています。さらに町田市議会議員は党派を超えてこの運動を支援し、市議会ではグランド跡地の有効活用の請願も可決されています。建設反対に関連する署名活動は通算4回行われ、延べ7万人以上の署名が集まりました。

◆「高層階の撤去」なんて非現実的なんじゃないの?
技術的には『ダイヤモンドワイヤーソー工法』などを使えば簡単なことです。切断する対象物にダイヤモンドをちりばめたワイヤを巻き付けて高速走行させ、糸で羊羹を切るように巨大建造物を切断する方法です。切断時の振動や騒音、粉じんといった公害の心配も少なく、公害規制の厳しい病院などの場所の切断にも適用されています。

◆自分たちも多少なりとも自然を壊して家を建てたのに、後から来た人たちは許さないというのはおかしいんじゃない?
私たちが生活のために多少なりと自然を壊していることは事実ですが、私たちは、私たちを生かしてくれている自然を極力傷つけないように努力することの必要性を主張しているのです。玉川学園地域では80年近くに及ぶ地域の歴史の結果、都市近郊にあり、住宅地に隣接していながら良好な自然生態系が残り、絶滅危惧種であったオオタカが民家のすぐ傍で生息していたという事実も判明しました。玉川学園地域の低層住宅は繁華街から緑地までの緩衝地帯としてオオタカの生息に役だっていたのです。後から来る人達もこのような地域住民の暮らしぶりを継承し、人間とオオタカの共生する環境を護ればなんの問題もありません。ところがユニヴェルのような高層巨大マンションが生態系に与える悪影響は未来永劫取り除けません。低層住宅と高層巨大マンションを比べることもおかしいし、如何なる人も後から来るなと言っているわけでもありません。むしろ私たちは玉川学園地域の街並み環境(自然と人が共生する環境)と暮らしを大切にしようとする方々を歓迎し、地域が緩やかで持続的に発展していくことを望むものです。

◆もう入居してる人たちも居るし、かわいそうじゃない?
昨年9月に入居が始まる当初から私たちは懸念しておりました。ユニヴェルが持つ問題点そのものもさることながら、裁判が簡単に終わるはずもなく、所有権が移転されてしまえば、購入者が被告の立場を引き継ぐことは避けられないからです。少なくとも何も知らずに高額なマンションを買ってしまったという不幸だけは避けてもらいたいと思い、購入検討中の方々には私たちの運動や主張について知ってもらうことに努めました。むしろ入居者の方々を騙して被告の立場を承継させたのは他ならない長谷工と五建築主達です。ナイスは購入希望者へは「裁判は入居時に終わる」など事実を曲げて伝え、さらに購入希望者が近隣住民との接触で事実を知ることを阻害する販売姿勢を通してきました。私たちは建築主・売り主を指導する立場にある国土交通省に、被告達業者が重要事項説明を正しく行うように、そして一部撤去時は入居者に対して責任をもって対応するように指導して欲しいと要望書も提出しました。結果的には反対主旨や裁判中事情をよく解らないままに購入してしまった入居者がでたことを大変残念に思っています。

◆若い人たちが増えた方が、高齢化した町にとっても良いことじゃないの?
ユニヴェルとは全く別次元の問題です。ユニヴェルにも若い人とほぼ同数の高齢者が入居されていると聞きます。特定の場所に一挙に588世帯、1500人規模の人口が一度に増えることにこそ大きな問題があり、学校や交通道路問題を含めた行政需要の偏在という事態を招くことになります。

◆正門前のテントで何やってるの?
4年間、建築主達は一度も住民説明会に姿を見せず、会社を訪問しても私たちと話をしようとしないので、私たちにはユニヴェル正門前で抗議をする以外に方法がありませんでした。マンションが完成してしまった現在もそのことに変わりはありませんし、私たちが従前から問題にしたように334号線の交通情況が長谷工の当初予想を遥かに超えて悪化した今、学童や一般の通行人を危険などから守るために、3トン超の道路交通法違反車の摘発を含め、引き続き正門前での注意を怠ることはできません。テントではまた、新たな購入希望者が何も知らずに購入してしまうことを極力避けるために、反対運動の詳しい経緯や自然生態系を含み、ユニヴェルの問題点への質問に、いつでも答えることのできる場を訪問者に提供しています。


オオタカと共生できる環境を取り戻そう

旧IBMグランド跡地対策協議会は、玉川学園町内会、南大谷町内会、玉川学園南台自治会を母体としています。ご質問は玉川学園町内会事務所(пF725-0438)にご連絡頂ければ、対策協議会に取り次ぐことができます。

制作・著作:旧日本IBMグランド跡地対策協議会(2007.08.05)。